証券口座を複数作るのはおすすめ?メリット・デメリット&上手に使い分ける方法を解説!

  • 【この記事のポイント】
  • ● 証券口座を複数持つことで、利用できる商品や取引方法、取引ツールなどの選択肢が増える。
  • ● 運用資金・損益状況・口座情報の管理や、確定申告などの手間が増えることがある。
  • ● 使い勝手のよい証券会社をメインにし、目的に応じて他の証券会社を組み合わせるのがおすすめ。
  • この記事は3分で読めます。

さまざまな証券会社があり、どこで口座を開設すればいいのか迷う人も多いのではないでしょうか。 そんなときは、複数の証券会社で口座を開設するのもひとつの方法です。 今回は証券口座を複数作るメリットとデメリット、上手に使い分ける方法について解説します。

証券口座を複数開設することはできる?

開設できる証券口座の数に制限はなく、証券口座はいくつ開設しても問題ありません。ただし、次のような制約があります。

証券口座の開設における制約

特定口座


証券口座には、大きく「一般口座」と「特定口座」の2種類があり、特定口座はさらに源泉徴収「なし(簡易申告口座)」と「あり(源泉徴収口座)」に分かれます。
どの口座を利用するかは自由に選べますが、同じ証券会社で開設できる特定口座は1口座のみに限られています。

NISA口座・つみたてNISA口座


NISA口座やつみたてNISA口座の開設はいずれか一方のみで、すべての金融機関を合わせて1人1口座しか開設できません。

証券口座を複数持つメリット

購入できる商品の選択肢が増える


取り扱う商品の種類や数は証券会社によって異なるため、複数の証券口座を持つことで購入できる商品の選択肢が増えます。
また、通常の取引所外で取引ができる「PTS(私設取引所)」や、1株単位で取引ができる「単元未満株(ミニ株)」を扱う証券会社に口座があれば、同じ銘柄でも取引の幅が広がります。

各社独自のツールやサービスなどを利用できる


各証券会社は、独自の取引ツールや銘柄分析ツール、投資情報やセミナーなどを提供しています。口座を複数開設することで、自分に合ったツールを利用したり、情報収集したりすることができます。

IPOの当選確率アップが期待できる


IPO(新規公開株式)は、値上がり期待の高さから人気の投資対象ですが、上場時に売り出されるIPO株は誰でも購入できるわけではありません。
IPO株が割り当てられる証券会社・株数は銘柄ごとに決まるため、複数の証券会社に口座があれば、購入できるチャンスが広がります。

システム障害時のリスクを回避できる


大規模な障害はまれですが、証券会社単位で見ればシステム障害によって取引ができなくなるケースは少なくありません。
複数の証券会社に口座を持っていれば、1つの口座で取引ができなくなっても、別の口座を利用することで機会損失を回避できます。

証券口座を複数持つデメリット

損益通算には確定申告が必要


源泉徴収ありの特定口座で取引した場合の利益と損失は、証券会社が損益通算し、トータルの利益に対する税金の計算・源泉徴収・納税まで行います。この一連の手続きは各特定口座内で完結しているため、複数の口座間で自動的に損益通算されることはありません。
例えば、A社の特定口座で損失が出て、B社の特定口座で利益が出ている場合、B社の利益とA社の損失を損益通算するためには、自身で確定申告を行う必要があります。

IDやパスワードの管理が大変になる


複数の証券口座を作ると、ログインや取引時のID・パスワードもそれだけ多く必要になり、管理が大変になる可能性があります。

資金管理・損益管理の手間が増える


商品購入時の資金の移動や、資産全体の運用成績の計算など、運用資産が複数の口座に分散することで手間が増える可能性があります。

口座の選び方&上手な使い分け方法

口座の選び方のポイント


メイン口座
メインで利用する口座を選ぶポイントには、「取引ツールの使いやすさ、取引手数料の安さ、取扱商品の充実度」などがあります。
自身が重視するポイントを考え、優先順位が高い項目が有利な証券会社、あるいは全体のバランスがよく総合力の高い証券会社をメイン口座にするとよいでしょう。
サブ口座
国内株式であれば取引手数料の安さ、投資信託や外国株式であれば取扱銘柄数や取引手数料などを比較し、利用目的に合わせて強みを持つ証券会社を選びましょう。
IPO狙いであれば、IPOの取扱実績数はもちろん分配方式も重要なポイントです。対面取引中心の大手証券会社などは、取扱実績や割当株数は多くても、大口顧客に優先的に分配される傾向があります。 一方、抽選方式であれば取引金額による影響は少ないため、公平にチャンスがあるといえます。

対面証券とネット証券を使い分ける


店舗がある対面証券は、担当者に相談できる・セミナーに参加できるといったメリットがあります。ただし、ネット証券に比べて手数料が割高な傾向があります。
「時には対面で相談したいが、手数料はなるべく抑えたい」という人は、対面証券とネット証券の両方で口座を開設し、必要に応じて使い分けるとよいでしょう。同じ証券会社内で、支店口座とネット専用口座の両方を開設できる場合もあります。

まとめ

証券会社にはそれぞれの強みがあり、投資目的に合った証券会社を利用することで投資を有利に進められます。複数の口座を開設するメリット・デメリットを理解し、それぞれを上手に使い分けて活用していきましょう。

著者
竹国 弘城
RAPPORT Consulting Office代表、1級FP技能士、CFP(R)、証券外務員一種
証券会社・生損保代理店での勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。お金に関するコンサルティング業務や執筆業務などを行う。ミニマリズムとマネープランニングを融合したシンプルで豊かな暮らしを提案している。

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