著者
大野 翠
芙蓉宅建FPオフィス代表、FP技能士センター正会員
金融業界歴10年目、お金と不動産の専門家。
生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを開催している。
iDeCo(イデコ)とつみたてNISAの違いって?特徴・お得な選び方を徹底解説!
- 【この記事のポイント】
- ● iDeCoとつみたてNISAは、どちらも税制面の優遇がある資産運用商品。
- ● iDeCoは掛け金が全額所得控除になるが、運用益の途中引き出しはできない。
- ● つみたてNISAは最長20年間・最大800万円が非課税になり、途中で引き出すことも可能。
- この記事は3分で読めます。
金融の初心者でも始めやすい資産運用としてよく挙げられるのが「iDeCo(イデコ)」と「つみたてNISA」です。 本記事では、この2つの制度の特徴とお得な選び方について解説します。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
iDeCoの特徴
iDeCoは、自分が選んだ商品を決めた金額で運用し、老後資金を形成するための制度です。 運用する商品は定期保険・保険商品・投資信託の中から選べます。
iDeCoに加入できるのは20歳以上60歳未満の日本国民で、月5,000円から始められます。 毎月の掛け金で運用したお金は60歳以降に受け取ることができます。
iDeCoのメリット
節税効果が高い
iDeCoでは、掛け金(積立金額)の全額が所得控除となり、住民税の軽減につながります。 また、利息や運用益が非課税となるほか、一定の範囲内であれば受取額にも税制優遇措置があります。
iDeCoのデメリット
原則60歳まで引き出せない
iDeCoは原則として60歳まで資産を引き出せません。 いくら積立額が貯まっていたとしても、年金制度と連動した仕組みであることから、途中解約や引き出しはできない決まりになっています。
条件によっては加入できない
会社員などの給与所得者が勤務先の企業型確定拠出年金に加入している場合、勤務先の規約によってはiDeCoに加入できないことがあります。加入を検討する際は、勤務先の制度を確認しておきましょう。
つみたてNISAとは
つみたてNISAの特徴
つみたてNISAは、対象の投資信託への投資で発生した利益が非課税になる制度です。利用できるのは日本に住んでいる20歳以上の人です。少額からスタートできるため、初心者向きの資産運用としても知られています。
つみたてNISAで選べる商品は、公募株式投資信託と上場株式投資信託(通称ETF) の2種類です。運用期間が長いことから、長期運用でも安定して資産を増やすことができるような商品ラインナップになっています。
つみたてNISAのメリット
最長20年・最大800万円が非課税になる
つみたてNISAの非課税期間は最長20年間で、非課税投資枠は毎年40万円が上限です。 つまり、20年間で最大800万円が非課税となります。
安全性・自在性が高い
つみたてNISAでは、金融庁が一定の基準を満たしたと認めた商品だけを購入できます。 また、つみたてNISAはiDeCoと違って自在性が高く、運用を始めても途中で引き出すことが可能です。
つみたてNISAのデメリット
口座と非課税投資枠に制限がある
NISA口座は1人1口座と決まっているため、すでに一般NISAでNISA口座を利用している場合は、つみたてNISAでの運用はできません。
また、非課税投資枠の40万円は、もし未使用の枠が残っていても翌年に繰り越すことはできません。
2024年から始まるつみたてNISAの新制度
2024年から、つみたてNISAも含めたNISA制度が、より使いやすくわかりやすい制度に生まれ変わります。 なお、現在すでに利用している人は、そのまま継続が可能です。
投資期間が5年延長
つみたてNISAに関する変更で最も特徴的なのは、投資できる期間が5年延長される点です。 現在、新規で投資できる期間は2037年までですが、5年延長されることにより2042年までになります。
一般NISAも積立が前提になる
一般NISAの変更点は、2階建てのシステムになるというものです。 まずは1階部分としてつみたてNISAの商品を必ず選ぶ必要があり、購入方法も積立方式のみです。 その後、2階部分として、これまでの一般NISAと同様の商品を選び、一括か積立で購入することになります。
iDeCoとつみたてNISAの選び方
特徴の違いから選ぶ
iDeCoは運用期間が20歳から60歳までと決められており、原則として途中解約や一部引き出しはできません。 このことから、老後資金の準備として確実に増やしながら備えたい場合に向いています。
一方、つみたてNISAは途中引き出しが可能なので、現金化のしやすさを重視するなら検討の余地があるでしょう。 また、20歳以上であればいつから始めても運用期間が最長20年なので、60歳前後の人が老後資金を準備する方法としてもおすすめです。
両者を併用する
iDeCoとつみたてNISAは併用が可能です。 iDeCoで老後資金を手堅く運用しつつ、万一の際に引き出せる資金として、つみたてNISAで少額でも積み立てを続けていくのも良いでしょう。
タイプ別に見るお得な活用方法
若年層・単身者
30歳未満の若年層で単身者の場合、老後資金の準備といってもイメージしにくく、年収があまり高くないことも考えられます。
それならば、少額で始められる「つみたてNISA」を利用し、自身の給与の中から無理のない金額で運用していくのがおすすめです。 途中で資金の引き出しができることも、若年層にとっては使い勝手が良いでしょう。
ファミリー世帯
お子さんのいる世帯の場合、教育費などの出費がかさみ、なかなか夫婦の老後資金準備が進まないかもしれません。 老後資金をコツコツ貯めるためには、月5000円から始められるiDeCoを活用し、子どもにかかるお金と夫婦の老後資金を分けて管理するのが良いでしょう。 夫婦そろっての加入が厳しい場合は、夫婦のどちらかだけでもiDeCoに加入し、少しでも老後資金を手堅く貯めておくのがおすすめです。
専業主婦のiDeCo加入について
専業主婦は控除する所得がないため、掛け金の全額所得控除という最大のメリットを使うことができません。 なお、夫の所得から妻の分の掛け金を控除することもできないので注意しましょう。
ただし、運用益が非課税であるなど、所得控除以外の税制上のメリットは全て適用されます。 したがって、専業主婦でもiDeCoに加入して老後資金に備えることは効果が大きいと言えます。
まとめ
iDeCoとつみたてNISAはどちらも長期運用を前提としており、老後資金の形成に役立ちます。 運用期間や加入条件などに違いがあるため、自身のライフスタイルに合わせてどちらの制度が最適であるかを検討しましょう。コラムリスト
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