生命保険料の支払いが多い?平均から考える保険料の目安&払いすぎている場合の見直し方

  • 【この記事のポイント】
  • ● 平均的な年間保険料について、男性は約23万円、女性は約17万円。
  • ● 平均と比較して保険料が高いと感じた場合は、保障の減額などで保険料を見直すのがおすすめ。
  • この記事は4分で読めます。

生命保険に加入しているとき、自身の保険料が高いのか安いのかは気になるところではないでしょうか。 本記事では各種データを引用しながら、保険料の目安や払いすぎている場合の対策について解説します。

生命保険料の平均はいくら?

公益財団法人・生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、生命保険の加入率は男女ともに8割を超えています。
では、毎月払っている保険料(掛け金)はどのくらいなのでしょうか。

男女別の年間保険料


同調査によると、平均の年間払込保険料は男性で23.4万円、女性で16.8万円という結果となっています(個人年金保険の保険料も含む)。

一世帯当たりの年間保険料


生命保険文化センターの「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(二人以上の世帯調査)」では、一世帯当たりの年間保険料は平均38.2万円となっています。
金額の分布では、12万円から24万円未満が最も多く、全体の16%を占めています。次に12万円未満が14.8%です。

適正な月額保険料の目安

データから見る月々の保険料の相場


男性の年間平均保険料が23.4万円となっていることから、ひと月あたりの保険料の相場は1.95万円です。
また、女性の年間平均保険料は16.8万円で、ひと月にすると1.4万円です。

保険料の目安の考え方


目安は月給の1割以内
同じ男性でも、平均の保険料に対する負担の感じ方や、家計における保険料のウエイトには大きな差があるでしょう。
例えば、大学を卒業して働き始めたばかりの20代にとっては、毎月の保険料が約2万円となると大きな負担に感じるかもしれません。 適正な保険料の目安の一例としては、「月給の1割以内を目安にする」というのが一般的です。
月給15万円の人であれば、月の保険料を1.5万円以内に収めると、他の出費に影響を与えることなくバランスの良い収支をキープできるでしょう。
データや目安を一つの基準にしつつ、自身の家計に合わせていくらなら無理なく払っていけるかを考えることが大切です。

保険料を払いすぎている場合の見直しポイント

ここまでを読んで、「保険料を払いすぎているかもしれない」と感じた場合でも安心してください。
保険料の見直しポイントについて、それぞれのタイプ別に解説していきます。

単身者の場合


単身者が保険の見直しのポイントとして確認しておきたいのは「死亡保障」についてです。
死亡保障とは、その名のとおり「契約者(=自分)が死んだら遺族にお金が支払われる」ものです。 単身者の場合、別段の理由がなく家族に保険金を遺さなくてもいいならば、 遺族保障に保険料をかけるよりも、自身の入院や通院に対する保障を手厚くする方が現実的だと言えます。

死亡保障の減額・解約を検討する


単身者で死亡保障に高い保険料を払っている場合は、減額または解約を検討してもいいでしょう。
通常、葬儀や法事の費用の準備としては300万円前後が目安とされています。
つまり単身者の場合は、自身の葬儀代等として、最低でも300万円程度の準備があれば十分だと考えられます。
今後、家族が増えた場合は必要に応じて保障を増やすこともできるため、もし現状で保険料の負担が大きいと感じるなら、死亡保障を見直して負担を抑えるのがおすすめです。

住宅ローン契約者の場合


住宅ローン契約者の場合、まず生命保険の死亡保障について見直しましょう。
住宅ローンを契約するにあたり、一般的には団体信用生命保険に加入する必要があります。
団体信用生命保険とは、契約者が亡くなった場合(または高度障害状態になった場合)、ローン残高が相殺される代わりに住宅は遺族に遺るというものです。

死亡保障の減額を検討する


団信付き住宅ローンの契約者なら、万が一のことがあっても遺族に住宅を遺すことができるため、保険や現預金で遺族の住居費を準備しなくてもいいと考えられます。
住宅ローン契約前から加入している生命保険の死亡保障から、住宅購入費(住宅ローン契約をした金額)相当分程度を差し引き、死亡保障を減額することで保険料を大幅にカットできます。

減額のシミュレーション


仮に、3,000万円の住宅ローンを団信付きで契約したとします。
保険金額5,000万円の生命保険に加入していた場合、住居相当分の3,000万円を差し引き、残り2,000万円の死亡保障のみ保有すればよいということになります。
年齢条件によって違いますが、一般的には5,000万円に対する保険料と2,000万円に対する保険料では、かなりの差があると推測されます。

子どものいる家族の場合


子どものいる家庭が保険料を見直す際のポイントは、ずばり「子どもの保険料」です。
まず、お住まいの地域の児童・乳幼児に対する医療費助成制度について調べてみましょう。
例えば、毎月一定の上限額までしか医療費の手出しをしなくていいというものや、未就学児は医療費がすべて無料など、子どもの医療に対する補助は各市町村単位で設けられています。

医療保険と医療費助成制度の重複をカットする


各自治体の子どもに対する医療費助成を調べた上で、現在加入している子どもの医療保険と重複しているようであれば、過分な部分は減額、または助成のある間はすべて解約するなどの対策を取ることができます。
子どもが一人の場合でも保険料を減らせますし、複数の子どもがいる世帯では大幅な保険料の削減が期待できるでしょう。

子育てが終了した夫婦のみ世帯の場合


子どもが成長し、就職するなどして別世帯になった場合は、世帯主の死亡保障の減額を検討すべきタイミングです。
子どもに教育費がかかる期間までは、教育費相当分の死亡保障を上乗せして備えておくことで安心を得られます。しかし、上乗せしているということは、保険料もかさんでいるということだと認識しましょう。

夫婦2人世帯に見合う保険に切り替える


子どもと別世帯になった時点で死亡保障を減額し、夫婦2人世帯に見合った保険に切り替えることで保険料をカットできます。
特に、子育てがひと段落する世代である50代前後は、生命保険料が高額である場合が多いです。少しでも保障を減額することで、保険料を抑えることができるでしょう。

リタイア後の場合


リタイア後の生活では、毎月の年金を生活費に充て、退職金を貯蓄して暮らすのが一般的と言えます。再雇用などで就業できている間は年金以外でも収入があるので安心ですが、心配なのは年金だけが収入源になった場合です。
限られたお金の中で生命保険料も捻出するとなると、負担が軽いとは言えません。

払い済み保険への変更を検討する


保険料の見直しとして、現在加入している生命保険を「払い済み保険」に変更できないか検討してみるのもいいでしょう。
払い済み保険とは貯蓄性のある生命保険で、解約返戻金が貯まっている場合に利用できます。払い済み保険に変更する時点での解約返戻金の範囲内で、保険商品を買い取ることが可能です。
払い済みにすることで保障内容は減りますが、以降の保険料は払わずに済みます。また、新たな医的診査も不要ですので、健康状態に関わらず切り替えることができます。

まとめ

各種データを目安にし、自身の保険料が割高であると感じた場合は見直しを検討しましょう。
必ずしも従前の生命保険を解約して新たに加入し直す必要はなく、既存の保険の減額や払い済み保険に変更するという方法もあります。
生命保険の基本として、無理なく払える金額での加入・継続を目指しましょう。

著者
大野 翠
芙蓉宅建FPオフィス代表、FP技能士センター正会員 金融業界歴10年目、お金と不動産の専門家。 生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを開催している。

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