節税につながる配偶者控除とは?制度の仕組み・配偶者特別控除との違いetc.を解説!

  • 【この記事のポイント】
  • ● 配偶者控除と配偶者特別控除はどちらも所得控除の対象。
  • ● 配偶者控除は配偶者の所得が48万円以下のときに適用され、年齢によって控除額が変わる。
  • ● 配偶者特別控除は、納税者本人及び配偶者の年収によって控除額が変わる。
  • この記事は3分で読めます。

「配偶者控除」の適用を受ければ、所得が控除されて節税につながります。 本記事では、配偶者控除の制度の仕組みと、名称が似ている「配偶者特別控除」について解説します。

配偶者控除とは

配偶者控除は所得控除の一種です。 つまり、要件に該当すれば、総収入から一定の金額が控除されます。 なお、適用されるのは納税者本人の所得が1,000万円以下の場合です。

配偶者控除が節税につながる理由


配偶者控除分が本来の所得から差し引かれることによって、課税所得が少なくなります。 日本は累進課税といって収入が多い人ほど税金が高くなるため、課税所得を少なくできれば、その分が節税につながります。

適用条件


配偶者控除を受けるためには、以下4つの条件をすべて満たしている必要があります。

1.配偶者の年収(所得)の制限

1月1日から12月31日までの1年間で、合計所得金額が48万円以下であること(給与所得込みの年収103万円以下)

2.対象者の範囲

配偶者は納税者と生計を一にしていること(同一生計であること)。 つまり、扶養外の配偶者は配偶者控除の対象にはなりません。

3.事業専従者であるか否か

配偶者は、青色申告や白色申告における事業専従者ではないこと。 事業専従者の場合は、確定申告の際に事業専従者控除を受けられます。 両方を適用することはできず、どちらかを選んで適用することになります。

4.内縁関係ではないこと

配偶者は、内縁の夫や妻ではなく戸籍上の配偶者であること。 事実婚状態や未入籍でも制度上の配偶者には当たらないとされます。

控除額

控除額は、納税者本人の所得及び配偶者の年齢によって変わります。 参考:国税庁

配偶者特別控除とは

控除額は、納税者本人の所得及び配偶者の年齢によって変わります。 配偶者特別控除も所得控除の一種です。 配偶者控除と違って、配偶者の所得が48万円以上でも控除を受けられます。
  • 適用条件
  • 配偶者特別控除の適用条件は、上記の配偶者控除の2項目と重複しています。
  • ● 納税者本人と配偶者が同一生計であること
  • ● 青色申告等を行っている人の事業専従者ではないこと
  • この2項目に該当したうえで、納税者本人の合計所得と配偶者の合計所得によって控除額が決まります

控除額

参考:国税庁

配偶者特別控除を受ける際の注意点


配偶者特別控除は所得が48万円を超えても適用されます。 しかし、合計所得が48万円を超えると、所得税の対象となる場合があります。 所得税とは、一般的に住民税(市県民税など)を指します。 控除に意識を向けるあまり、配偶者自身が納税しなければならない税金があることを忘れないようにしましょう。

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

年齢条件の違い


配偶者控除では、納税者本人の所得と配偶者の年齢によって控除額が変わります。 一方、配偶者特別控除は、納税者本人と配偶者の所得によって控除額が設定されています。 つまり、配偶者特別控除では年齢は関係ありません。

所得条件の違い


配偶者控除を受ける場合、配偶者の所得は48万円以下でなければいけません。 一方、配偶者特別控除は配偶者の所得が48万円以上でも適用を受けられます。

配偶者に関する控除の申請方法

配偶者控除や配偶者特別控除を利用する場合、納税者本人が申請をする必要があります。

個人事業主の申請方法


個人事業主など確定申告を行う必要がある場合は、確定申告書第二表の「配偶者(特別)控除」欄に、配偶者の情報を記入します。 記入項目は、名前・生年月日・個人番号(マイナンバー)です。 どちらの控除を適用するかチェックを入れる欄がありますので、忘れずに記入しましょう。
続けて、確定申告書第一表「配偶者の合計所得欄」に所得を、「配偶者(特別)控除」欄に控除金額を記入します。

給与所得者の申請方法


会社員や公務員など給与所得者の場合、勤務先で年末調整が行われます。 したがって確定申告をする必要はありません。 年末調整の時期に勤務先から受け取る書類のうち、「給与所得者の配偶者等申告書」を提出したら申請が完了します。

まとめ

配偶者控除と配偶者特別控除は、どちらも納税者本人と同一生計で、青色申告等における事業専従者でないということが条件です。 さらに、それぞれの控除の条件に当てはまれば適用されます。
配偶者自身の年齢条件や所得の制限がありますので、配偶者の働き方について夫婦間で話し合いながら、上手に控除を活用しましょう。

著者
大野 翠
芙蓉宅建FPオフィス代表、FP技能士センター正会員 金融業界歴10年目、お金と不動産の専門家。 生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを開催している。

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